シニア猫(高齢猫)の餌の量と減量|7歳・11歳からの調整
公開日: 2026/6/19
「7歳を過ぎたからシニア用フードに切り替えたけど、量はどう変えればいい?」——こうした疑問をよく聞きます。高齢猫の給餌量は年齢帯によって考え方が逆方向に変わるため、「シニア=少なめ」と一括りにすると失敗します。7〜10歳と11歳以上では推奨係数が異なり、さらに個体差が非常に大きいのがシニア期の特徴です。
高齢猫の必要カロリーはなぜ変わる?
猫の必要カロリーは安静時エネルギー要求量(RER) にライフステージ係数を掛けて求めます。
RER = 70 × 体重(kg)の0.75乗
DER(1日の必要カロリー) = RER × ライフステージ係数
計算式の詳しい解説は猫の餌の量の計算方法を参照してください。この記事ではシニア猫特有の係数の使い方と体重別の目安に絞って解説します。
7〜10歳:代謝が落ちやすい「初期シニア期」
7〜10歳は基礎代謝が緩やかに低下しはじめる時期です。成猫期(避妊・去勢済み)の係数1.2から1.1へ下がります。ほんの少しの違いに見えますが、たとえば4kgの猫だと1日の必要カロリーが約20kcal減ります。成猫期と同じ量を漫然と与え続けると、じわじわと体重が増えていきます。
この時期に肥満になると、糖尿病・関節炎・心疾患のリスクが高まるため、体重の増加に気づいたら早めに量を見直すことが重要です。
11歳以上:消化・吸収・筋肉が落ちる「後期シニア期」
11歳以上になると、消化吸収能力の低下・筋肉量の喪失(サルコペニア)・食欲の不安定化が重なってくる猫が増えます。計算式上の係数は1.4に上がり、同じ体重でも必要カロリーが多くなります。
ただし、この年齢帯は個体差が特に大きいことを強調しておきます。11歳でもよく動いて太り気味の猫もいれば、12歳で急激に痩せてくる猫もいます。係数はあくまで出発点であり、毎週体型をチェックして調整することが前提です。
体重別早見表(ドライフード 400kcal/100g換算)
下の表は市販の標準的なドライフード(約400kcal/100g) を基準にした目安です。使っているフードのカロリーが違う場合は猫ごはん計算機でご自身のフードのkcal/100gを入力して再計算してください。
7〜10歳(係数 ×1.1)
| 体重 | 必要カロリー(DER) | グラム数(400kcal/100g) |
|---|---|---|
| 2kg | 129kcal | 32g |
| 3kg | 176kcal | 44g |
| 4kg | 218kcal | 55g |
| 5kg | 257kcal | 64g |
| 6kg | 295kcal | 74g |
11歳以上(係数 ×1.4)
| 体重 | 必要カロリー(DER) | グラム数(400kcal/100g) |
|---|---|---|
| 3kg | 223kcal | 56g |
| 4kg | 277kcal | 69g |
| 5kg | 328kcal | 82g |
2kgは虚弱・小型、6kgはメインクーンなど大型種を想定しています。掲載外の体重は猫ごはん計算機で個別に計算できます。
計算例:4kgの7〜10歳シニア猫
手順を具体的に確認します。
ステップ1 — RERを求める
RER = 70 × 4^0.75 = 70 × 2.828… ≒ 198kcal
ステップ2 — DERを求める
DER = 198 × 1.1 ≒ 218kcal(四捨五入)
ステップ3 — グラム数に変換する
フードが400kcal/100gなら:
給餌量 = 218 × 100 ÷ 400 = 54.5 → 55g/日
成猫(避妊・去勢済み ×1.2)の場合は同体重で約238kcal・60gでしたから、シニア初期では1日あたり約5g少なくなる計算です。「たった5g」と思うかもしれませんが、年単位で積み重なる差です。
太り過ぎのシニア猫:減量中の係数
7〜10歳で肥満になってしまった場合、減量中の係数0.8を使います。ただし減量の計算は現在の体重ではなく理想体重に対して行うのがポイントです。
たとえば本来4kgが理想なのに5kgになっている猫なら、5kgではなく4kgで計算します。
RER(4kg) ≒ 198kcal
DER(減量中) = 198 × 0.8 ≒ 158kcal
給餌量 = 158 × 100 ÷ 400 = 39.5 → 40g/日
急激な減量は脂肪肝(肝リピドーシス)のリスクがあります。必ず獣医師の監督のもとで行い、詳しくは肥満猫の減量食と給餌量を参照してください。
注意点・よくある失敗
「シニア=少なめ」で11歳以上の猫を絞ってしまう
7〜10歳と11歳以上を混同して、後期シニアの猫に少ない量を与え続けるのは危険です。後期シニアは消化効率が落ちているため、むしろカロリーを確保しないと急激に痩せることがあります。
体重を測らずに「なんとなく元気そう」で判断する
シニア猫の体重減少は毛並みで隠れやすく、気づいたときには骨格が浮き出ているケースもあります。月2回の体重測定と、ろっ骨・腰骨が触れるかのチェックを習慣にしましょう。
フードを変えてもグラム数を変えない
シニア用フードはカロリー密度が成猫用と異なることがあります。フードを切り替えたらかならずパッケージのkcal/100gを確認し、猫ごはん計算機でグラム数を再計算してください。フードのカロリーはフード比較ページでも調べられます。
パッケージの目安量を優先する
メーカーの目安量は幅を持たせた表記であり、個々の猫の状態を反映していません。計算式で求めた量と比較しながら、実際の体重変化で微調整するのが基本です。
いつ動物病院に行くべきか
以下に当てはまる場合は給餌量の調整より先に受診してください。
- 2週間で体重が5%以上増減した
- 急に食欲が落ちた・水をよく飲むようになった
- 毛並みが急に悪くなった・嘔吐が増えた
- どれだけ食べさせても体重が戻らない(後期シニアで特に注意)
シニア期の体重変化は病気のサインであることも多く、給餌量の調整だけで対応しようとすると手遅れになるケースがあります。迷ったら早めに動物病院へ相談することをおすすめします。
この記事の計算結果はあくまで目安です。療法食を与えている場合や疾患がある場合は、獣医師の指示量を優先してください。